月曜日
んてそんなにいなくて、だからまず応接室に行く。草壁達もまだいない、そんな静かな校舎内。応接室の扉には鍵を かけていないから、まっすぐ行ってドアノブに手をかける。カチャ、小気味良い音、聞きなれた音。誰もいないから窓か ら見える校庭も静か。だけど聞こえたかすかな音。「すぅ、」ソファの背凭れの向こうを覗き込む。「何してるの。」無言 だ。僕が一番乗りだと思った校舎にはたった1人の少女がいた。「早く起きてよ、。」応接室で寝てるなんて。
火曜日
巻き込まれるか。偶然といえば偶然、公園には人がいなくて、入口に見張りを立たせてその中で、無邪気に雪と戯 れるを見ていた。とても楽しそうに笑った顔が眩しい。眩しい?目が眩むというか、なんだか目眩がしてくる。「とぉ っ。」ちょっと目を離していたらいきなり雪球が飛んできた。ボスッ、頭が冷える。「…何?」こっちを向いてニコニコして いるのは雪球を投げつけてきた張本人だ。「暇だから一緒に遊んでくれないかな、と」思わなくても一緒に遊んであげ るのに。足元の雪を丸めた。
水曜日
前で、そう、どう考えても目と鼻の先としか言えない程目の前で、うきうきとした様子で跳ねられては嫌な顔も出来な い。いや、普通に出来るけど。ちょっと歩いたと思うとくるりと回ってこっちを見る。見なくても僕はここにいるんだけど。 「どうかしたの」なんて聞くとケラケラと笑って小走りになる。声だけ聞くと奔放な性格なのだろうかとも思うが、その目 は大人しい笑い方をしている。大人しい笑い方、ってなんだろう。「見て恭くん、桜がもう咲いてるよ!」「桜は嫌いだ、 って言ったでしょ。」
木曜日
に決まってる。もしかしてあの桜も幻覚だったのかな。珍しくを疑う。あれ、そういえばって幻覚を使う側だった かな?じゃああの男と同じ方なの?僕に咬み殺されたいの?よし、試しに屋上に連れて行こうかな。でも跳ね馬が邪 魔しに来そうだ。僕の砦に勝手に入ってくるなんて、本当に最悪な男だ。邪魔だってするに決まってる。「難しい顔し てどうしたの?」「君の事を考えていたんだけど。」ねぇ、なんでそんなに退いてるの。目を見開いたがあと数cmの ところで止まった。
金曜日
「お休みの間何しよう、何がいい?」何ってなんで一緒にいる前提なの。「暇なの?」「暇だからこうしているんじゃな いか、恭くん。」「君の考えなんて知らないよ」とは言い返すものの、しっかり分かっている。絶対に僕と遊ぶつもりだ。 どこかに連れ回すつもりじゃないか。「、僕は一緒にどこか行くつもりないからね。」「えっ、だめ?一緒に図書館行 こうよ!レポートがあるんだ」って、それは君のレポートじゃないか。勝手にやってよ。「今見捨てたでしょ!恭くんにも 出てるよ!」酷い嘘だな。
土曜日
いかな、と思ったら草壁は応接室にいた。変だな、何でいるんだろう。屋上から見えた応接室の窓際には草壁しか見 えなかったけど、草壁の口がパクパクしていたし視線がずっと中を向いていた。ということは草壁以外の誰かが応接 室にいて草壁と会話しているという事だ。そんなの僕だってすぐに分かるよ。誰と話してるんだろうかフェンス越しに探 ってみるけれど全然それらしい人影がない。もしかして草壁は幽霊とでも話しているんじゃないの。違った。窓際に、 笑うが出てきた。
日曜日
うして呼んだか、分かってる?」「分からないよ、恭くんは何も言ってくれない。」「言わないと分からないなんて子供 だ。」じゃあ恭くんも子供だよね、とがムッとした顔をする。ムッとしているのは僕だ。草壁と2人で、応接室で何を 楽しそうに話していたんだ。「恭くん。」「じゃあ教えてあげるよ。僕に無断で、応接室で何をしていたんだい」草壁と。 がキョトンとした顔をする。何の話、とばかりに。なんてやつだ。「そんなに咬み殺されたいの」とトンファーを一振 り。はそれでも呑気に、あぁ、と一息ついただけだった。「恭くん、秘密にしておいてくれる?」 |